2014-07-21

よい旅を

























今年初の夏の海。
夏に海に行ったのっていつぶりだろう。

2年前に知り合ってそれ以来連絡した事もないジェンダくん、シーくんと
初対面の中国から来た学生カップルという謎のメンバーでなぜか一緒に海を
見に行く事になり、みんなで黄昏れてた。
はしゃぐ訳でもなく、何か深い話をする訳でもなく、ただただ海の向こうを見ていた。
フェンスを高く登って海を眺めていたら海に吸い込まれそうになって慌てて降りた。

遠出をする度にどこかへ行くことがこんなにも簡単にできてしまう事に拍子抜けする。

車の中で、中国人カップルに「本当に中国ではFacebook使えないの?」と聞いてみた。
「本当だよ。ツイッターもラインも使えないの」と教えてくれた。

「なんで?」と口が先走ってしまい、一瞬なんだか緊張したムードになったけど、
「特に理由はない、共産党だから」という結論に至った。

ジェンダくんは中国のアモイというところの大学で一学期間特別講師として勤めていて、

いろんなホームページがアクセスできなかったり、ある生徒に「中国人と思っていない
台湾人の事をどう思いますか」というシビアな質問を投げかけられたり、発言にとても
気を使ったり、情報を売っている人がいたと言っていた。

「どういう事?」と聞いたら
海外の雑誌やら文献やらを写メして売るらしい。
情報が自由に入らない分、何としてでも何かを手に入れたい欲でいろんな反動が起こり
その欲がまた今までにない発想を生み出し、そういった意味で中国はとても広く、面白い国だと言っていた。

なんか映画の世界みたい。

「なんか嫌だね、情報が政府にが閉ざされているのって」とシーくんに言ったら
「まぁ、でも結局は個人がどれだけ今抱えている問題を掘り下げようとしているか、本質を知ろうとしているかじゃない?情報を知るための方法はいくらでもあるから」とシーくんはクールに答えた。

確かに。
こんなに自由な環境にいるのに、私は半径5メートル以内で生活している。
聴く音楽も、映画も、小説も、文献も、展覧会も、遠出も、食べるものも、買うものも、人付き合いも、昔からあまり基準はかわっていない。見たいものにしか目を向けず、聞きたい事にしか耳を傾けない。

ジェンダくんは明日上海に飛び、その後チベットの近くに10日ほど滞在し、その足でローマへ飛び、次の日すぐ上海で仕事があると言っていた。

「よい旅を」と言って私たちは分かれ、またそれぞれ関わりのない生活に戻る。

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